原発処理水海洋放出による問題は?海産物への影響は?放出水のトリチウム濃度は?

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2021年4月13日に、日本政府が福島第一原発の冷却に使われた汚染水を貯めたタンクが限界に達しているため、再処理した処理水を海洋放出することを決定し発表しました。

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福島第一原発では、建屋地下に地下水や雨水が流れ込んで冷却水と混合し、毎日数十トンの汚染水が発生しています。多核種除去設備(ALPS)で浄化し、高性能フィルターで、トリチウム以外の放射性物質を基準以下に取り除きタンクに貯蔵しています。

トリチウムは三重水素とも呼ばれる放射性物質で、水素の原子核は陽子1個なのに対しトリチウムの原子核は陽子1個中性子2個からなります。水素と同じ性質を持ち、水の形で存在しているため、水と分離するのが難しい。トリチウムは弱い放射線を出していて、自然界にもあり、12~13年で半減します。

震災前の全国の原発から毎年350兆ベクトル前後のトリチウムが海洋放出されていました。トリチウムの放出基準は1リットル当たり6万ベクトルで、この水を毎日飲み続けても、放射線量は、日本で1年間に自然界から受ける放射線量と同等又はそれ以下です。福島原発の処理水は、この基準の40分の1まで希釈して海洋放出するので安全です。

福島原発には、処理済み汚染水約125万トンがタンクに貯待っていて、含まれるトリチウムは約900兆ベクトルです。これを海水で希釈し、少しずつ何十年もかけて海洋放出します。海洋放出時には、影響をモニタリングし、風評対策を行うと言っています。

麻生太郎財務相が、4月13日の閣議後の記者会見で「科学的根拠に基づいて、もうちょっと早くやったらと思っていた。飲んでも何てことはないそうだ」と話しました。麻生財務相は、中国や韓国が海洋放出している放射性物質トリチウムの濃度より、今回の日本が決定した濃度は低いと指摘しました。

政府が東京電力福島第一原発の処理水を、福島沖へ海洋放出することを正式決定したのに対して、福島県の漁業者(52)は「(影響があるのは)福島だけじゃない。茨城も宮城も一緒。何十年も流されたら、後継者がいるところは影響が大きい。説明も十分されていないし、流しても大丈夫だと言われても、国も東電も信用できない」と話しています。

福島県のタコ漁の漁業者は「こんなことないべ。国が決めたことだと押し切るのは、沖縄の基地問題と同じ。漁で食べられなくなったら、みんな自殺するしかない。ようやく事故から10年たったのに。流せば必ず(風評被害など)影響は出る。国は風評被害が出たら対策するって言うけど、できるならこの10年の間にやっている」と語っています。

麻生財務相が「あの水を飲んでも何ちゅうことない」と発言したのに対して、韓国のネットで「それなら海に捨てず、自分たちの飲料水にしたら」と反論し、「全部飲んで、無くしたら」などの、怒りのコメントがありました。韓国の月城原子力発電所など、韓国原発から海洋放出されているトリチウムについては今まで報道されていません。

海外の反応

中国外交部の趙立堅報道官が、4月15日の定例会見で「汚染水がきれいであることを証明するためには、日本の政治家が汚染水を飲み、ご飯を炊いたり洗濯をしたり農作業をしてみてほしい」と語っています。

趙報道官は「日本が自国の利益だけを守るために、国際社会に危険の負担を背負わせるなど、無責任な行動を取っている」としながら「汚染水が海産物を汚染しないということを保証するべきだ」とも話しています。

韓国国会の金相姫(キム・サンヒ)副議長は「福島汚染水の海洋放流は日本海流付近の放射能核種による汚染を招きかねない」とし、「現在、福島県一帯の水産物輸入措置を日本全域に拡大する必要がある」とし、「隣接国を考慮しない日本の福島汚染水の海洋放出強行は韓国国民に被害をもたらすだろう」としながら「韓国の専門家が福島汚染水の安全性・危険性を直接評価しなければならない」と指摘しました。

米ウッズホール海洋研究所のケン・ブセラー博士は4月7日に、「サイエンス」に寄稿し、福島原発処理水の海洋放出に対して問題点を指摘しています。

福島原発に1000個以上のタンクがあり、100万立法メートルを超える汚染水が貯蔵されていて、一日に200立方メートル近い量が増えています。多核種除去設備(ALPS)で取り除けないトリチウムを含む処理水を希釈して海洋放出することを発表しています。

プセラー博士は、「トリチウムは半減期が比較的短いうえ、海洋生物や海底堆積物に容易に吸収されず、害が少ないベータ放射線を放出するため、問題は少ない方」とし「全世界の原発からも排出されている」と書いています。

プセラー博士は「トリチウムは半減期が12.3年であり、60年間保管すればトリチウムの97%が崩壊する」とし「60年間に貯蔵量は現在の4倍に増えるだろうが、汚染水保管地域を他の地域にまで広げて保管すればよい」と提案しています。

ブセラー博士は「放射性物質は(核種により)海洋でそれぞれ異なる作用をする」とし「炭素14やコバルト60、ストロンチウム90など同位元素は半減期が長く、海底堆積物や魚類への親和力がはるかに高く、人間と環境に潜在的にはるかに危険だ」と強調しました。

まとめ

今回は政府が決定した、福島第一原発のトリチウムを含む処理水を、福島県沖への海洋放出について、漁業者、中国、韓国の反応と専門家の見解について調べました。従来から中国、韓国においても、原発のトリチウムを含む処理水は、日本海等へ海洋放出されていて問題無いことが分かっています。

福島第一原発の場合は、事故による排水であるため、トリチウム以外の放射性物質の混入を心配していることが分かりました。モニタリングをしっかりと行って結果を公表し、風評被害を起こさなければ、漁業者も納得できると思います。

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