子育て世帯の支援のため、児童養育者の年収が960万円以上の世帯を除いて、0歳から18歳の児童1人当たり10万円相当を支給することが決まっています。
10万円支給の内の5万円は2021年中に現金で支給し、残りの5万円は来年に使途を限定したクーポンで支給することが決定しています。クーポンの配布経費として事務費967億円がかかることが分かりました。
鈴木俊一財務大臣はクーポン給付事務費967億円に関して「過去の類似事業と比べて過大な水準ではない」として妥当だと語っています。
クーポンで給付すると、事務費、クーポンを作成し配布する手間、クーポン使用店舗の登録の手間など煩雑な作業が伴うので、クーポン配布を辞めて、全額を現金給付に切り替えることを要望している自治体が増えています。
10万円全額現金給付になるのか、配布時期、クーポン案はどうなるのか調べました。
10万円全額現金給付になるのか?いつ配布?クーポン案はどうなった?
18歳以下の児童へ10万円給付する内、5万円をクーポンで配布のさいの事務費967億円について、YouTuberでモデルの「そわんわん」が「967億の経費はえぐい。ウチでも考えればわかること」と苦言を呈しています。クーポンの配布には印刷業者を決めて店舗を決めるのに時間がかかり、給付開始が来年6月以降にずれ込む自治体が多くなると言われます。YouTuber「そわんわん」は更に「クーポン…10万円配ってくれるが、分けるんじゃなく、10万一括で現金でくれた方が生活費や学費も回せる。それが一番有難い」と一括給付が好ましいと述べました。
YouTuber「そわんわん」は本名:曽和未佑(みゆう)、1999年2月19日生まれ、東京都(和歌山県育ち)、星林高等学校卒業、和歌山弁の動画を公開している女性YouTuberです。チャンネル登録者数64万人です。
YouTuber「そわんわん」は「全部現金にしたら、経費も300億円に収まるというのを見た。ということは600億円以上が浮く。それもみんなに配って、絶対に生かせていける。ウチでも考えればわかることだから、もう一回、話し合いをして欲しい」と経費削減について訴えています。
12月8日に、松井一郎市長は「給付を2回に分けるより、年末に(現金が1回で)届く方が受け取る側のニーズに合っている」として、年内に全額現金で支給したい意向を明らかにしました。
大阪市内では給付対象者が約35万人います。児童手当を受け取っている中学生以下の26万人には、児童手当の仕組みを使って年内に10万円を支給したいと語っています。
12月8日の国会で、岸田文雄首相は10万円給付について、クーポンを使わず全額現金給付することについて、クーポン給付分の現金給付も可能であると話し、さらに「どういう場合に現金給付ができるか地方自治体の意見を聞きつつ、具体的な運用方法を検討していく」と全額現金給付に関する見解を表明しました。
全額現金給付の意向を表明している自治体
全額現金給付する意向を示している自治体として、大阪市以外に群馬県太田市、静岡県島田市、愛知県犬山市、大阪府箕面市などがあります。
・大阪市は、年内に全額現金給付したい考えですが、松野官房長官は年内の現金5万円と来春のクーポンの5万円は財源が違うため、「一括で同時に支給することを想定していません」と答えています。大阪市の年内の全額現金給付は実現するにはハードルが高いと思われます。
・群馬県太田市の清水聖義市長は、今月中に5万円を現金支給し、来年春に残りの5万円を現金で支払う方向で調整しています。市民から「クーポンは使いづらい」という声が多く寄せられたので決めたと言います。
清水聖義市長は「現金で支給しても食事や塾の費用などで最終的に子どものために使う世帯がほとんどなはずで、国も『いうことを聞かないなら太田市にはお金を渡しません』というようなことはないと思う」と語っています。それに対して官房長官は「あくまでクーポンで給付するための予算なので基本的にはクーポンで給付するように働きかけたい」と話しています
・静岡県島田市の染谷絹代市長はスピード感と経費の縮小の点から全額現金給付を検討しています。染谷絹代市長は「現金給付とすれば、新学期に間に合うように保護者の方々に使っていただけるのでは。クーポンだと新学期に間に合うかわからない」と語っています。
・愛知県犬山市の山田拓郎市長は、クーポン給付について「多くの人の声を聞いても、そもそも望んでいない」として、柔軟に現金給付できるように求めています。山田市長は給付のスピード、利便性、現場の業務量の点から全額現金給付を検討しています。
・大阪府箕面市の上島一彦市長は、迅速な給付の実現や事務費の観点から10万円を全額現金給付する方針を決めました。上島一彦市長は「市民の使い勝手やクーポンの準備にかかる時間などを考慮すると全額現金で給付するのが市民のニーズに適している」とコメントしています。
クーポン案はどうなる?
政府は現金給付にすると貯蓄に回りやすく、地域経済の下支えにならないので、5万円分のクーポンを、来春の卒業、入学時期に配る予定です。
岸田首相は衆院本会議の答弁で「クーポン給付を原則として検討してほしい。どのような場合に(全額)現金給付ができるかは、自治体の意見を伺いつつ具体的な運用方法を検討する」と見解を語っています。
政府は、自治体が独断で現金給付に切り替えたときは「クーポン給付とは異なる取り組みなので、5万円分の財源は自治体が負担することになる」と語っています。
国の財源が使えず、現金給付が自治体の負担になると、全額現金給付する自治体は減少すると思われます。
まとめ
今回は0歳から18歳までの児童に1人10万円を支給する件で、5万円のクーポン給付の代わりに現金給付を検討している自治体について調べました。給付の基準が明確になっておらず、全額現金給付する自治体が、どれだけ出てくるか、12月9日時点では不明でした。
児童への10万円給付がスムーズに進むように祈っています。
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