新型コロナウイルスの変異株オミクロン株が感染の主流になり、オミクロン株の特性を考慮して季節性インフルエンザと同じ扱いにすることを求める声が出ています。
オミクロン株は感染力が強く、毎日多くの新規感染者を出しています。重症者数がデルタ株より極端に少ないため、季節性インフルエンザと同じ5類へ変更の要望があります。
感染法においては感染力、致死率などを元に1類から5類までに分類されています。現在新型コロナウイルスは結核などと同じ2類相当に分類されています。
安倍晋三元首相は「今年はさらに踏み込み、新型コロナの法律上の位置付けを変更してはどうか」と語り、2類から5類への変更を訴えています。
コロナウイルスのインフルエンザ化はいつになるのか調べました。

コロナウイルスのインフルエンザ化はいつ?
日本経済新聞社が1月28日~30日の世論調査で、新型コロナの感染症上の分類を見直すべきかを聞いた結果は、「季節性インフルエンザと同じ扱いにすべき」という回答が60%ありました。「現在の位置づけを維持すべき」は31%でした。
ビル・ゲイツはオミクロン株の流行が収束していた国では新型コロナの感染者が激減し「新型コロナが季節性インフルエンザのように扱われることになる」と予測しています。
オミクロン株はデルタ株と比較して、感染力は強いが、肺炎を起こすことがまれで重症化が少なく、ほとんどが軽症または無症状です。重症化しなければ、現状のインフルエンザとほぼ同等に扱えると言っています。
オミクロン株とデルタ株の比較
オミクロン株 デルタ株
感染力 デルタ株の2倍超 アルファ株の1.5倍
潜伏期間 3日ほど 3~5日
症状 鼻炎症状が目立つ。肺炎はまれで起きても軽い。 肺炎を起こして重症化することがある。
新型コロナがインフルエンザのようなものになると予測している科学者が多くいます。しかしWHOはウイルスの進化の不確実性と速さから、今はまだその時期でないと語っています。
沖縄では新型コロナの感染急拡大により、感染や濃厚接触で欠勤している医療従事者が多数います。医療従事者が欠勤し人出不足に落ちいっているなかで、オミクロン株による感染者が増加しています。
沖縄県豊見城市の友愛医療センターでは、手術の延期など一般診療へ影響が出て医療崩壊が心配される時期がありました。
無症状の医療従事者は、毎日の仕事前に抗原検査などで陰性を確認できれば働けますが、「抗原検査で陰性が出たからといって、本当に感染させないのか」と心配している人がいます。
新型コロナがインフルエンザ相当の5類になる時期について、広島大学大学院・坂口剛正教授は「いずれウイルスが弱くなったら、オミクロンもそうだが、5類に落として普通のインフルエンザのような対応にすることに、いずれなると思う」と新型コロナのインフルエンザ化の可能性を語っています。
坂口教授は「問題はタイミングがいつかということ。これは国が決めることなので、今、そのタイミングを見ていると思う」と話しました。国が新型コロナのインフルエンザ化の時期を検討中です。
坂口教授は更に「医療関係者の方がおっしゃるのは、やはり飲み薬がもう少し普及をすると、問題があったらすぐ飲み薬で対処できるので、薬の普及ということもあるかもしれない」と飲み薬特効薬がインフルエンザ化のタイミングに関係すると述べました。
岸田首相は1月13日に「現状、感染が急拡大している状況の中で、(感染症法上の)分類の問題を変更するということは、たちまちは現実的ではない」と語り、新型コロナのインフルエンザ化は、今後の状況を見極めて行う方針です。
飲み薬特効薬の現状
新型コロナをインフルエンザと同じ5類に引き下げるには、飲み薬特効薬が重要な役割を演じます。
メルク社製経口抗ウイルス薬「モルヌピラビル」(商品名:ラゲブリオ)が2021年12月24日に特例承認され、重症化の恐れのある患者に処方されています。RNAポリメラーゼ阻害薬でウイルスの増殖を阻害します。重症化リスクを約30%低下します。
ファイザー製経口薬「パクスロビド」の承認の可否を審議する厚生労働省の専門家部会が2月10日から開催されます。ファイザーと計200万人分の供給について最終合意していて、2月中の実用化を目指しています。細胞内のウイルスの増殖を抑え、入院・死亡リスクを89%減らします。
塩野義製経口薬は治験で3回投与されたグループにおいて、ウイルスが63%から80%減少しました。オミクロン株にも有効性が認められています。2021年度中に100万人分を生産する予定です。
国産の塩野義製飲み薬が供給されるようになると、新型コロナをインフルエンザ並みの5類へ移行させるのが加速されると思われます。2022年末から2023年初めごろに5類へ移行することが期待されています。
日本人の集団免疫獲得はいつ?
集団免疫とは、人口の一定割合以上の人が免疫を持つと、感染患者が出ても他の人が感染せず、感染症が流行しなくなる状態のことです。
当初は国民全体の60~70%がワクチン接種すれば「集団免疫達成」が得られると考えていました。ところが国内のワクチン接種が進み、2回目接種者が78.8%になってもオミクロン株の感染爆発が起こっています。
ワクチンの効果は100%ではなく90%程度で、接種後の時間経過によって効果が低下する傾向があります。ワクチンの効果を上げるために3回目の接種(ブースター接種)を進めていますが、2月1日現在3回目の接種を済ませた人は全人口の3.5%と低い値です。
ブースター接種が全人口の少なくとも70%以上にならないと集団免疫は獲得できないと言われます。
ワクチン接種によって集団免疫が得られなかった理由は
1. オミクロン株の感染力が強い。
2. ワクチン接種後に一定割合のブレークスルー感染が生じる。
3. ワクチン2回接種後の時間経過によりワクチンの免疫効果が低下する。
の3点が考えられます。ワクチン接種によって感染は抑制できませんでしたが、重症化しにくくなっています。
ワクチンの3回目接種を進めて、集団免疫が得られることを期待されています。




まとめ
今回は新型コロナをインフルエンザと同じ5類に移すのはいつか調べました。国産飲み薬の完成により、コロナのインフルエンザ化が促進されることが分かりました。集団免疫の獲得には、3回目のワクチン接種が重要であると言われています。
3回目のワクチン接種が進み集団免疫が得られて、新型コロナの収束することを祈っています。
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