2022年3月10日、ウクライナのゼレンスキー大統領は、各都市に設定された「人道回廊」を使って、2日間で10万人が避難したと話しました。
南東部の港湾都市マリウポリにおいて、ロシア軍が「人道回廊」を使って避難中の民間人を攻撃したと非難しました。
食料や水、医薬品を載せたトラックを、「人道回廊」を使ってマリウポリへ送ったが、ロシア軍の戦車により攻撃されました。
ウクライナ人道回廊完了したらロシア本格侵略開始か調べました。

ウクライナ人道回廊完了したらロシア本格侵略開始か?
「人道回廊」は戦闘に巻き込まれた民間人を都市から退避させるために、一時的に戦闘を停止させると同時に、都市へ食料や水、医薬品などを供給します。
ロシア軍が包囲するウクライナの港湾都市マリウポリでは、食料や水、医薬品、電力などが不足しています。
ロシアとウクライナの戦闘が継続し、マリウポリには「人道回廊」による避難を希望する民間人約20万人がいます。
民間人を退避させるために「人道回廊」の設置に両国が合意しました。しかし「人道回廊」を使用して避難中に、ロシア軍に攻撃されて思うように機能していません。
「人道回廊」が設定された3月9日には、休戦中にロシア軍により産婦人科・小児科病院が空爆され、妊婦ら3人が死亡しました。
国連のドゥジャリク事務総長報道課官は記者会見で「(現地で活動する国連人権高等弁務官事務所職員が確認すると)病院は女性や子供のために使われていた」と述べ、無差別な空爆であったことを明らかにしました。
ロシアのラブロフ外相は、空爆について「(ウクライナ軍が病院を占拠し)患者はいなかった」と正当化しています。
港湾都市マリウポリには約43万人が暮らしています。連日空爆や砲撃にさらされ、食料品店やショッピングモールも攻撃されています。
ウクライナのゼレンスキー大統領は「(ロシア軍は)マリウポリを人質にとり、絶え間なく砲撃を加える命令が出ている」と話しています。
赤十字国際委員会(ICRC)職員の報告によると、マリウポリでは小さな子供と母親だけが地下シェルターに隠れていて、「人道回廊」が設置され避難できるのを待っています。
それ以外の12歳以上の子供や母親は、地下シェルターに入れません。
電力の供給が1日3~4時間で、夜間は氷点下になり厳しい寒さに耐えています。「人道回廊」による緊急の避難が必要です。
ICRC職員の報告では「食料は数日分しかない。寒さのため、多くの人が体調を崩し始めている」と伝えています。周辺の店や薬局で略奪も起こっています。
ウクライナの人道回廊の設置はシリア内戦と酷似
ウクライナの都市で設定したロシアの「人道回廊」の目的は、シリア内戦のときと同じと言われています。
シリア内戦でアサド政権を支援したロシアは、「人道回路」で民間人を指定地域に退避させ、退避が完了した後で都市に総攻撃を加え制圧しました。
ロシアには、「人道回廊」を設置して国際世論の批判をかわし、その後に総攻撃を加えて拠点制圧を進める狙いがあります。
ウクライナでも、民間人が「人道回廊」を使って退避後に、ロシアが総攻撃を加え、都市に残った多数の市民が犠牲になることが心配されています。
ロシアは、ウクライナのキエフ、スムイ、マリウポリ、ハリコフ、チェルニヒウの5都市に民間人を退避させる「人道回廊」を設置します。
「人道回廊」が機能して、安全に民間人が退避できることを祈っています。
ロシアベラルーシ側に多い理由
ロシア国防省は3月8日、ウクライナにおいて民間人を避難させるための「人道回廊」を設置すると発表しました。
7日までの「人道回廊」は、行き先がロシア、ベラルーシ(ロシアの軍事同盟国)の方面へ設定されていて、避難希望者がおらず失敗に終わりました。
ウクライナのゼレンスキー大統領は3月7日のビデオメッセージで「(人道回廊に)ロシアの戦車、多連装ロケット砲、地雷があり民間人が安全に退避できない」と訴えました。
ロシアが設定した「人道回廊」は、キエフの場合、いったんロシアの同盟国ベラルーシへ行って、飛行機でロシアへ向かうルートでした。
第2の都市ハリコフもロシアへ向かうルートでした。6個の避難ルートの内、4個がロシア行になっていて、ウクライナの同意が得られませんでした。
「人道回廊」の設置が、ロシアとベラルーシ側に多い理由は、ロシアはウクライナの民間人を人質にとって戦争を有利に進めたいと考えているためです。
ウクライナ人は、ロシアの考えが分かっているので、ロシアとベラルーシへ向かう「人道回廊」を利用せず、計画が失敗しました。
日本テレビ解説委員の小野高弘さんは「市民の皆さんは命からがら避難しますので、気づけば自分の意思とは異なる場所に連れて行かれて、そのあげくに、『大勢の市民が希望してロシアに逃げてきた』というロシアのプロパガンダに使われる可能性もあります」と語っています。
ロシアの本当の狙いは「キエフ、スムイ、ハリコフ、マリウポリなどのウクライナの主要な都市を制圧すること」だと言われます。
まとめ
今回は、ウクライナの都市の民間人を「人道回廊」で退避させるロシアの狙いについて調べました。
ロシアは、民間人の退避が終わってから、総攻撃してウクライナの主要都市を制圧することを狙っていることが分かりました。
ロシアのウクライナに対する武力侵攻が終わることを祈っています。
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