2022年3月12日、停戦交渉を担当するウクライナのポドリャク大統領府長官顧問は、3回目の交渉後もオンラインによる交渉が続いていると話しました。
ウクライナ側の停戦条件は、ロシア軍の撤退、ウクライナの安全を保証する和平協定と破壊されたインフラの補償などを明確にすることです。
ウクライナのポドリャク大統領府長官顧問は「ロシアはいま、より的確に世界の状況を感じ取り、ウクライナ側の立場に理解を示しつつある」として、「数日中に具体的な結果に到達すると思う」と語りました。
停戦協定ロシアが求める条件に付いて調べました。


停戦協定ロシアが求める条件とは?
2月21日にロシアのプーチン大統領がウクライナ東部の親ロシア派武装組織の支配地域の独立を一方的に承認し、部隊の派遣を命令しました。
24日にロシア軍がウクライナへ武力侵攻し、キエフ、ハリコフ、オデッサなどの都市を攻撃しました。
2月28日に第1回目の停戦協議、3月3日に2回目の停戦会議、3月7日に3回目の停戦協議を行いました。
初期の停戦協議におけるロシアの停戦条件は、ウクライナの「中立化」、軍事力を放棄する「非武装化」とゼレンスキー大統領が退陣する「非ナチ化」でした。
ロシア軍の損失が、ウクライナ軍の抵抗で想定以上に膨らんでいるため、ロシアは停戦協議に柔軟に対応しています。
英国国防省の発表によると、ウクライナへ侵攻したロシア軍の要員の損失が多く、ロシア国内から増強要員を集めています。
ロシアは、ウクライナへ派遣する増強要員を、遠方の東部軍管区、太平洋艦隊、アルメニアから招集し、民間の軍事企業、シリア人などの傭兵の動員も検討しています。
これらの増強要員を制圧した地域に投入し、正規の実戦部隊の戦闘能力をキエフの制圧に振り向けることを考えています。
米国の情報当局は、ウクライナへ武力侵攻してから約3週間が経過し、ロシア兵の死亡者数が約7000人になったと推定しています。
これはメディア報道、ウクライナとロシアの推計、攻撃を受けた装甲車の映像、衛星写真の分析により求めた数字です。
ウクライナ側はロシア軍の死者数は1万3500人、ロシア側はロシア軍の死者数が409人と発表しています。死者数が約7000人とすると、両軍発表の中間です。
ロシア軍の負傷者数は1万4000人から2万1000人と推定されています。
ロシアがウクライナに投入した兵力は約15万人であったので、約14%から19%の兵力が失われています。戦死者数が多いために、ロシア兵の士気が低下しています。
ウクライナへ武力侵攻したロシア軍を指揮する将官の戦死が続いています。ロシア兵の士気が低下しているため、指揮官が前線へでて、部下を鼓舞している可能性があります。
米国国防総省の元官僚エブリン・パーカーズ氏は「特にロシアの兵士は、自分たちがなぜ戦っているのか理解できていない状況なので、こうした損失(多くの死傷者)は士気と部隊の団結力に影響を与える。誰かが運転し、誰かが撃たなければならないが、全般的な状況意識が低下する」と述べました。
3月7日にシリア内戦への従軍経験のある陸軍少将がハリコフで戦死し、3月12日にアンドレイ・コレスニコフ少将も戦死しました。侵攻以降にロシア軍将官の死者は少なくとも3人になっています。
英国メディアは「予定通り進まず、(将官が)危険を冒さざるを得ないのでは」と専門家の意見を書いています。
ウクライナ侵攻が長引くと、ロシア軍の損失はさらに大きくなる可能性があります。
3月14日から続いているウクライナとロシアの停戦協議は、重要な進展があり、戦争が収拾局面に入るか注目されています。
英国のフィナンシャル・タイムズが「ウクライナが中立を宣言し、軍事力の制限を受け入れれば、ロシアが攻撃を中止して撤退する内容を含めた暫定的な平和計画について重大な進展を成し遂げ」と報じました。
ロシアの停戦条件は、ウクライナがNATO(北大西洋条約機構)加盟を放棄し、外国軍や軍事基地を配置しないかわりに、米国、英国、トルコなどがウクライナの安全保障を提供することです。
ウクライナは、自国の安全保障を、米国、英国、トルコに加えてロシアを含めて「法的拘束力」のある条約を締結すべきと主張しています。
イスラエル、トルコ、フランスなどが、ウクライナが受け入れられる条件での合意に向けて仲裁しています。
ウクライナのポドリャク大統領府長官顧問は「我々の立場は非常に具体的だ。(ロシアが含まれた)法的拘束力を持つ安全保障、停戦、ロシア軍の撤退だ。これは両国首脳の直接対話を通じてのみ(実現)可能だ」とTwitterに書いています。
クリミヤ半島とドンパスの2つの自称共和国の独立の領土問題が、最後のハードルと思われます。
なぜNATO非加盟を求めるのか?
ロシアはウクライナがNATOに加盟すると、NATO軍がロシアに近くに来るので、ロシアの安全保障が損なわれます。
プーチン大統領は、ウクライナをNATO非加盟にして中立化させて、ロシアとNATOの間にウクライナを挟み、ロシアの安全保障を確保したいと考えています。
ウクライナはNATO加盟の代わりに、米欧などの安全保障を求めています。
ロシアの立場が軟化し、ウクライナ側は数日から1週間ほどで停戦合意の可能性があると語っています。停戦のための15項目の合意案の一部が明らかになりました。
◎停戦のための15項目の合意案の一部
ロシア語の公用語指定
ウクライナのNATO加盟断念
米欧などの安全保障と引き換えに他国軍の基地や兵器の国内排除
ウクライナ軍の維持
ロシア軍の撤退
まとめ
今回は、停戦協議におけるロシアの条件に付いて調べました。
ロシアがウクライナ侵攻してから、約3週間が経過し、ロシア軍の損失が大きくなっています。戦争を辞めるために、停戦協議が進められています。
ロシアが停戦のために譲歩の姿勢を示し、停戦のための15項目の合意案を協議して停戦する方向に進んでいます。
早期に停戦が実行されることを祈っています。
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