日本の戦後の安全保障政策の大きな転換点になる自衛目的で相手のミサイル発射拠点などを叩く反撃能力の保有で自民党と公明党が合意しました
反撃能力は敵基地攻撃能力とも呼ばれ自衛隊が敵のミサイル基地を攻撃できる能力です。
日本が反撃能力を保有するとどうなるのか、いつ保有するのかについて調べました。
日本が反撃能力を保有するとどうなるのか?いつ保有する?
反撃能力は自衛隊の前身の保安隊の頃から検討されていました。1952年、保安庁に制度調査委員会が設置されました。
1956年に鳩山一郎首相が「攻撃を防ぐのに万やむを得ない必要最小限度の措置をとること、たとえば誘導弾等による攻撃を防御するのに、他に手段がないと認められる限り、誘導弾等の基地をたたくことは、法理的には自衛の範囲に含まれ、可能であるというべきものと思います」と答弁しています。
反撃能力とは自衛隊が敵のミサイル発射基地を攻撃できる能力で、今まで保有していなかった。
反撃能力の行使される手続きは、
1.まず最初に日本へミサイル攻撃がされたとき、事態の経緯や事実から武力行使が必要と判断する。
2.国家安全保障会議を開催し答申をへて反撃能力の使用を閣議決定する。
3.国会承認(緊急時は事後)を受ける。
4.首相が自衛隊に防衛出動を命令する。
5.出動した自衛隊が反撃能力を行使する。
の順番で行われる。
日本が反撃能力を保有したときの問題点について調べました。
反撃能力を保有時の問題点1.発動のタイミングや対象が曖昧である。
反撃能力の行使は敵からミサイルなどによる攻撃が発生した場合の必要最低限の措置というが、発動のタイミングや対象が曖昧で先制攻撃につながる可能性が残る。
反撃能力を保有時の問題点2.歯止めが見当たらない。
反撃能力の行使は必要最低限と決められているが基準が明確でない。歯止めが決められていない。行使のタイミングによっては先制攻撃と受け止められる場合が生じる。
反撃能力を保有時の問題点3.反撃する対象が明確でない。
攻撃対象は軍事目標と言われるがミサイルが軍事基地から発射されるとは限らない。敵の民間施設からミサイルが発射されるときに民間施設を攻撃対象にできなければ反撃能力を持っていても宝の持ちぐされになる。
反撃能力を保有時の問題点4.周辺国の反発をかうため緊張状態になる。
日本が反撃能力を持つと周辺国が警戒して軍事力を増強し緊張状態になる恐れがある。
反撃能力を保有時の問題点5.米国など他国が攻撃され日本の存立が脅かされる場合も含まれる。
米国などの密接な関係の他国が攻撃され、日本の存立が脅かされる「存立危機事態」も含まれると言っている。
米国がミサイル攻撃されたときに日本から敵国へ反撃すれば戦争に巻き込まれる。
米国の戦争に巻き込まれる可能性、敵からの再攻撃などのリスクも考える必要がある。
いずれにしても解釈や対象が曖昧な状態で反撃能力を持っても実際に必要な時に行使できない恐れがある。
いつ保有する?
反撃能力を保有するため敵の射程圏外から攻撃可能な長距離ミサイルとして米国製巡航ミサイルのトマホーク約500発の購入を検討している。
国内で相手の射程圏外から攻撃する「スタンドオフミサイル」への改良に2022年度393億円の予算を計上し1発1億円超えのトマホークを購入する。
2023年度から5年間の防衛費を約43兆円に増額する予定です。2022年度までと比較すると1.5倍以上の防衛費になる。
従来はGDP(国民総生産)比で1%の防衛費を、2027年度には2%に引き上げることを考えている。
トマホークの購入時期は、米国と相談して進められる。
反撃能力は予算のついた分から逐次実行される
世界各国との関係はどうなる?
日本の反撃能力は北朝鮮、韓国、ロシア、中国と関係がある。
北朝鮮が弾道ミサイルの発射を繰り返している。日本列島と近海への発射は、日本の船舶・航空機の安全な航行、国民の日常生活を脅かしている。
北朝鮮の脅威に立ち向かうためには早急に反撃能力を確保する必要がある。弾道ミサイルで核兵器を撃ち込まれても北朝鮮に反撃できないのであれば北朝鮮は安心して日本へ核兵器を打ち込んでくる。
北朝鮮の攻撃を抑止するために反撃能力の確保を急がなくてはならない。反撃能力に対する北朝鮮の反応は不明であるが情報収集はしていると思われる。
北朝鮮が日本を攻撃すれば、自衛隊が反撃すると北朝鮮に認識させることが重要である。
韓国は同盟国として日本が反撃能力を持つことを歓迎している。日本の反撃能力が、北朝鮮が韓国を侵略したときに韓国を助ける手段になる。
ロシアはウクライナ侵略に戦力がさかれているため日本の反撃能力に対して反応を示していない。
中国の環球時報は、日本の反撃能力は「アジアの平和脅かす」と論説している。中国外務省の発言を引用し「平和憲法と専守防衛に反し、アジア太平洋地域の平和と安定を深刻に脅かす」と懸念を表明した。
さらに「歴史の教訓を真剣に学び、平和発展の道を堅持し、隣国と国際社会の真の信頼を得るべきだ」と主張している。
反撃能力の保有は、外国から懸念を持たれないような説明が必要と思われます。
まとめ
今回は政府で検討を進めている反撃能力の保有について調べました。
反撃能力の保有は自衛権の範囲内であることが分かりました。
反撃能力を保有して外国からの侵略を受けない国になることを祈っています。
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